PERIODONTAL DISEASE
ABOUT PERIODONTAL DISEASE
歯を失う原因の№1が歯周病。特に中高年世代では顕著な割合を占めており、生涯を自分の歯で生活するためには対策が欠かせません。
しかも歯周病は、動脈硬化や糖尿病といったさまざまな疾患と関連していることがわかってきています。つまり口の中だけでなく、全身に悪影響を及ぼす恐ろしい病気なのです。
当院では日本歯周病学会の歯周病専門医である院長と同学会認定の歯科衛生士がチームを組み、診断・治療・メンテナンスを行います。
いつまでも自分らしく元気に暮らしていくために、まずは歯と歯ぐきの健康管理を徹底しましょう。
CHECK
2016年の厚生労働省による調査では、歯周病の有病率(歯周ポケット4mm以上の人の割合)は25歳~34歳で3割を超え、
35歳~44歳では4割、45歳以上では過半数に達します。いずれも過去の調査を上回っており、全世代で増加傾向にあるのです。
「自分は大丈夫」と過信するのは禁物。下記の項目に、思い当たる症状はありませんか?
朝起きた時、口の中がネバネバしている
歯を磨くと血が出る
歯茎が腫れている、色が赤または黒っぽい
歯が伸びた感じがする
前歯が出っ歯になった気がする
歯がうずくような感覚がある
歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい
口臭が気になる
ひとつでも該当する項目がある場合は歯周病の疑いがありますので、
お早めに歯科医院を受診することをお勧めします。
歯と歯ぐきの隙間にある歯周ポケットから侵入した細菌が歯肉に炎症を引き起こした状態を「歯肉炎」、さらに歯を支えている歯槽骨という骨を溶かしてしまうまでになった状態を「歯周炎」といい、両者を合わせて「歯周病」と呼びます。
もともと口の中には、およそ300~500種類の細菌が棲んでいます。これらの細菌は、適切なケアが行われていればそれほど悪さをしません。
しかし衛生管理が不十分だと、「プラーク(歯垢)」と呼ばれる細菌の塊を形成します。プラーク1mgあたりの細菌数は1億個を超えるといわれ、その中に歯周病の原因菌も含まれているのです。これらの細菌によって歯肉炎が起こると、歯周ポケットが深くなってますます。菌の繁殖しやすい環境が生まれます。
一方でプラークを放置すると唾液の成分などと結合して硬くなり、歯磨きをしても取れない「歯石」という物質に変化していきます。歯石は歯周ポケットの奥深くへと細菌を誘導し、やがて歯槽骨を溶かし歯を失わせる要因となるのです。
歯周ポケットにプラークが溜まり、中に含まれる細菌が炎症を引き起こします。歯磨き時などに多少の出血がありますが、自覚症状はあまり目立ちません。
歯ぐきが赤く腫れてきて、歯周ポケットが深くなってきます。出血が気になり始め、歯に物が挟まりやすくなる、冷たい物がしみるといった症状も出てきます。
腫れが広がり、歯周ポケットがさらに深まって歯石やプラークが固着。歯槽骨が溶けだします。歯ぐきがやせて歯が長く見え、膿や口臭、歯のぐらつきもあります。
歯ぐきが化膿・変色・後退し、歯の根が露出します。歯槽骨が溶けて歯を支えられなくなり、食事の際に痛みもあります。放置すれば、歯が抜けてしまいます。
歯周病と関係が深いと考えられている病気の一部をご紹介します。
口の中の健康は、全身を健康に保つ上で欠かせないものなのです。
動脈硬化により心臓に血液を送る血管が狭くなったり詰まったりして、死に至ることもある病気です。歯周病の原因菌は、血中に侵入して動脈硬化を誘引する危険因子のひとつと見られています。
脳の血管が詰まり、血液供給が途絶えて脳細胞が壊死してしまう病気で、命が助かっても後遺症が残る恐れがあります。歯周病の人はそうでない人の2.8倍も脳梗塞になりやすいといわれています。
インスリンというホルモンの作用不足により高血糖が慢性的に続く病気で、さまざまな合併症を伴います。歯周病との間にも密接な関係があり、相互に悪影響を及ぼし合っているのです。
飲食物が誤って気管に入ってしまった際、唾液の中の細菌が肺に侵入し、炎症を引き起こします。特に高齢者に多く見られる病気で、原因となる細菌の多くは歯周病菌であるといわれています。
歯の残存本数の少ない人は、認知症にかかりやすい傾向があります。近年では、歯周病菌の体内への侵入が認知症の原因物質の増加に関わっているという研究結果も報告されています。
妊娠している女性が歯周病の場合、そうでない人の7倍、早産や低体重児のリスクが高くなると言われています。妊娠中は特にホルモンバランスの変動で歯周病になりやすいと報告されています。
当院では、歯周病に特化した診療を行うための専門外来を設けています。
歯周病でお悩みの方、歯ぐきの状態に少しでもご不安を感じている方は、お気軽にご相談へお越しください。
歯周病治療の基本は、原因となる細菌を口の中から取り除くこと。
スケーリング&ルート・プレーニング(SRP: Scaling & Root Planing)という手法を用いて、歯周ポケットに溜まった歯石やプラークを機械的に除去していきます。この基本治療を徹底的かつ定期的に行い、細菌の繁殖を抑えていけば、ほとんどの患者さまは回復に向かいます。
SRPを施しても症状の改善が見られない重症の患者さまについては、歯周外科手術を行う場合もあります。
一例として、保険適用が可能なリグロス®という薬剤を用いた歯周組織の再生療法があります。歯周ポケットの内側の病変箇所を切除してこの薬剤を塗布することで、血管の新生を促し、溶けた歯槽骨の復活を早める効果が期待できます。
つまり歯周炎がある程度進行してしまったとしても、歯を失うことなく健康な状態へ回復する可能性は残されているのです。精密さを求められる手術になりますが、当院には専門知識・技術を持つスタッフと充実した設備が整っておりますのでご安心ください。
SRPと経過観察をくり返す歯周病治療には、時間と根気が必要です。日常生活の中でのセルフケアも重要になりますので、無理なく続けられるよう、患者さまのライフスタイルを考慮した治療プランをご提案します。
また歯周病が改善された後も、再発防止のためにはメンテナンスが欠かせません。
予防歯科の知見を活かし、引き続き定期的な検診とクリーニング、セルフケアのサポートなどを行って参ります。
FLOW
01
X線写真などで口腔内の状態を確認。
歯周病の説明と、ブラッシングの習慣などについてのヒアリングを行います。
02
検査結果や聞き取った内容をもとに、現在の状況を詳しく解説します。
その上で、症状やライフスタイルに合わせた治療の計画をご提案します。
03
歯周ポケットの深さ、歯のぐらつきをチェック。
特別な器具を使って、根面に付着したプラークや歯石を徹底的に除去します。
また歯ブラシの選び方やブラッシング方法についても指導します。
04
一定期間を置いて歯ぐきの状態チェック(チャート診査)を行い、歯周ポケットが浅くなったか、
出血が治まったか等を確認します。
改善が見られれば、治療を終えて「07 メンテナンス」へ進みます。
05
基本治療で改善が見られない場合は、再度SRPを実施。
特に重症の場合は、歯周ポケットの掻把や歯周組織の再生を誘導する外科処置を行います。
06
処置後の効果を確認し、症状が改善されればメンテナンスに移行します。
改善状況が不十分であれば再び検査を行い、治療計画の見直しを行います。
07
定期的な検診により経過を観察しつつ、クリーニングやブラッシング指導を通じて
再発防止を徹底します。